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episode.02 (ページ2/8)

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は?
恩?

恩なんかあったかと記憶を探ってみはしても、皆目、見当がつかない。
何よりコイツにそんなもの着せられたくもない私は、意識的にしろ無意識的にしろネジに借りなど作らないようにするだろうし、恩義を感じることなどしてもらってるはずがないと思う。
なんともネジの言葉が腑に落ちなくて、恩てなによ、と訊ねようとしたら、問いを発する間もなく辺りに微かな衣擦れの音とこちらに向かって近づいてくる足音が響いた。
ネジと二人、同時に目を向けた部屋の入口に、日向家宗家のご当主ヒアシ様の姿が現れた。

「待たせたな、ネジ」
「いえ」

上座に着座するヒアシ様の前でネジが深々と礼をする。
その様にあわてて私も頭を下げた。

「――で」

顔をあげるとヒアシ様がその厳しく鋭い眼光を容赦なくネジの上に浴びせた。

「お前が言っていたのはそちらのお嬢さんのことか?」

はい?
そちらのお嬢さん?
なんのことだよ、オイ。



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