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第5話番外編 (ページ4/13)

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「いやったぁぁあーー!!」

段ボールの箱に飛びつき、いそいそと蓋に手をかけた。
私の異様なほどの喜びように、ネジが怪訝そうに首をひねる。

「なんなんだ、その荷物。どこから送られてきたんだ」
「あぁ、コレ? コレはさぁー」

言いながら、私は段ボールの蓋を止めているガムテープを端っこから剥がしはじめた。
実はこの荷物、私が実家から取り寄せたものなのだ。
先ほどこの部屋で、これからの生活に思いを馳せ、到底やっていけるわけがないと意気消沈していた私は、実家からあるモノを送ってもらうことを思いついた。
それは私の希望の光。
それがあれば、憂鬱でたまらんこれからの毎日をなんとか乗り切れそうな気がする。
少なくても、そんな勇気はもらえるはずだと思った。
そこで私は急いで手紙をしたためたのだ。
ここから出られなくても、とりあえず文なら届けられる。
文なら子飼いにしている伝書鳩に頼めばいいし、さすがに手紙くらい送ったところで誰にもお咎めはうけないだろう。
私はすぐに、日頃から世話している伝書鳩のアズ丸を指笛で呼びよせ、両親に届けてくれるよう、自分の手紙を託した。
おそらくこの荷物は、そのアズ丸が無事に届けてくれたであろう手紙を読み、両親が送ってきてくれたものに違いない。
つまり、中にはきっと私が待ちに待った心の支え、希望の光が入っているはずなのだ。
私は段ボールを開ける手を止めもせず、ネジにぞんざいな返事をかえした。

「実家から送られてきたのよ、実家から」
「実家? そうなのか……」

ネジは一瞬、思案気な空気を漂わせると、またすぐに口を開いた。



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