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第5話番外編 (ページ1/13)

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ネジの家であてがわれた部屋は決して悪いものではなかったが、絶賛ローテンション中な私にとってはなんとも座敷牢のようなものにしか感じられなかった。
まぁ、それもそうだろう。
分家に着いて早々、あのおかしなオババに外出という名の脱出手段をあからさまに断ち切られたのだ。
これがへこまずにいられるわけがない。
新たに抜け出す方法をひねり出すって言ったって、一朝一夕、そう簡単に思いつくはずもなく、第一、簡単に思いつくくらいなら、私もはじめからこんなに落ち込みやしないというものだ。
とにかく、この部屋が真っ暗やみの牢獄としか思えないのは、こういった経緯のなせる業である。
にしても――。
部屋に入るなり、そのど真ん中で立ちすくんでいた私は、しばらくして弾かれたように天井を仰いだ。

このままじゃ、私、生きてけねぇぇえーー!!

茫然自失の態からようやく脱し、心中、声を大にして叫ぶ。

だってだって!!
仲の悪〜いネジと、さらにはあんな変な子泣き婆まで加わっちゃってんだぞ?!
そんなメンバーでひとつ屋根の下、どうやって暮らしてけって言うんだよッ!!
っつぅーか、子泣き婆って、人ですらねぇーし!!
人外生物と一緒に暮らせとか、もう、マジ有り得ないからぁぁあーー!!

私は頭を抱え込み、その場にしゃがみこんだ。
どう考えたって奴らと愉快な生活なんて無理無理無理、その掛ける3の一億乗くらいは軽く無理だ。
自然、絶望感いっぱいに雄叫びのひとつでもあげたくなる。
だが、ふとあることを思いついて、私は声を飲みこんだ。

……そうだ。
アレがあれば私も頑張れるかもしれない。
私の救いとなるアレがあれば――。

私はバッと顔をあげ、すぐさま立ち上がる。
そして、自分と一緒にこの部屋に運ばれてきたマイボストンバックに駆け寄った。





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