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episode.21 (ページ3/3)

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何だ?!
何の音だ?!

慌てて玄関の引き戸を開けて、中に飛び込むと、ちょうど廊下を走ってやってくるフミさんに出くわした。

「ぼ、ぼ、ぼっちゃまッ!!」
「どうしたんだ?! 今の音は一体なんだ?!」
「それが見当も……」

困惑顔のフミさんが最後まで言い終えぬうちに、どこからか「はぃぃいーー!!」と気合いをこめる声が聞こえてきた。
つづけて、ガッと何かを殴りつける重たい響き。

アイツか、名無子ッ!!

声と音のしたほうをギリッと睨みつけた俺に、

「名無子さんの仕業でございますか?!」

フミさんが悲鳴とも言える声で訊ねた。
そうこうしてる間にも名無子の意味不明なヤル気溢れる叫び声と何かを壊しているのではないかと思われる不気味な音が数を重ねて積み上がっていく。
俺は思わず声を荒げた。

「名無子はどこだ?!」
「い、今、仏間のお部屋をお掃除してらっしゃいます……!!」

フミさんの言葉を聞き終えるのももどかしく、俺は怒りに満ちた足取りで名無子のいる部屋へと向かった。





to be continued.
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