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episode.20 (ページ1/3)

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あのババア、覚えてろよ。
いつか土踏まずで踏んでやる。
正真正銘、青竹踏みにおとしめてやる。

あれから、フミさんに連れてこられたのは、日向家宗家の歴代ご当主さまたちがずらりと居並ぶ部屋だった。
ずらりと居並ぶ、といっても、もちろん、ヒアシ様をのぞく他の面々は既に亡くなっておられるわけで、当然、生身の皆様方がいるはずはない。
ここに並ぶのは、歴代ご当主さまたちの顔写真。
それが見事な額に入れられ、部屋の欄間部分にズラリと飾られているのだ。
そのなんとも荘厳たる和室は、おそらくこの分家でもまず一番立派なものに違いないだろう。
さて、そんな部屋で私が何をするのかって言われれば、そりゃ……。

「では、お掃除、お願いいたしますよ」

そう、掃除――だ。
フミさんにいつの間に持たされたのか、ハタキとホウキを両手に握りしめ、ついでに「そうじ」の三文字を噛みしめて、私は霊験あらたかみたいな顔した写真どもが包囲する座敷の真ん中に立ちつくした。

オイオイオイオイ、こんな和室、掃除すんのヤダっつぅーの。

まわりを見上げるとすかさず返ってくる、写真におさまってまで無駄に鋭い当主陣の視線は一体なんなんだろうか。
白眼の使い手ということも相まって、その視線には必要以上に威圧感がある。
目を合わせただけで、写真の中から経絡系を見切られ、断ち切られそうな貫禄に、私のナイーブな心は圧倒されまくりだ。



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