With
episode.17 (ページ1/6)
夜中の修行はカカシ先輩が暗部を辞めてからもずっと続けていた。
あまりの疲労に眠ってしまう日なんかもあったけど、任務に影響しない程度に日々やってきた。
そして、今回の任務でもその習慣は変わっていない。
皆が寝静まった後そっと建物を抜けだして、私はひとり修業に励んでいた。
今日はカカシ先輩によくやったなんて褒められて嬉しかったな……。
カカシ先輩から任務中に言われた賛辞を思い出すたび、私の胸の中をくるくると暖かな風が渦巻いて上昇していく。
その心地よい上昇気流に押し上げられるように、
よ〜し、もっともっと頑張って早くカカシ先輩みたいに強くなるんだから!
私は心の中で自分を励まし、ヤル気いっぱいに自主練を始める。
体術の修行を開始し、軽く汗をきだした頃、不意に人の気配を感じて私は動きを止めた。
殺気があるわけでもなく別段気配を消そうとしている様子もないことから、相手が危険な人物ではないだろうと踏むものの、一応は油断なく気を引き締めて目を向ける。
すると、薄暗い森の中、木の後ろからひとつの影が現れた。
「名無子。修行してんの?」
その声に強張っていた体からふっと力が抜けていく。
「カカシ先輩……」
空から届く微かな月明かりに照らされて浮かび上がったのは私が目標に掲げるカカシ先輩その人だった。
(ページ1/6)-74-
←|→ backselect page/164