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episode.01 (ページ1/3)

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小高い丘の上に桜が一本生えている場所がある。
薄桃色の花びらが木全体を覆い隠すように咲き誇り見事な美しさを呈しているものの、この木一本ということで花見の客は誰一人いなかった。
皆、たくさんの桜が並ぶ場所を選び、花見に興じているらしい。
丘の上から見える桜の群生地からは賑やかな人の気配が伝わってくる。
そんな景色を眺めながら、私たちは満開の桜の木の下である人物を待っていた。
二時間も前から……。

「ねぇ、テンゾー。ほんとにここであってるのかな?」

待ちくたびれて木の根元に座り込んでいた私は、隣で幹に寄りかかりながら腕組みして立っているテンゾウに話しかけた。

「あってると思うんだけど?」

テンゾウの落ち着いた声が、その穏やかな視線とともに私の上に降りてくる。

「じゃあ、私たち、時間まちがえた?」
「いや、それもあってるハズだけど」
「じゃあ、なんで来ないのかなぁー?」

テンゾウに向かって嘆くように必死に問いかけると、

「僕にそう言われてもねぇー」

テンゾウが困った顔で私に答えた。



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