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episode.41 (ページ1/5)

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雪牙の向かった先に背を向けて、私は雪牙とは逆方向へ躊躇なく走りだす。
はやる気持ちとともにカカシ先輩のもとへと急いだ。
数十秒走って戻った場所では、先輩と敵忍がまだ熾烈な戦いを繰り広げていた。
どうやらカカシ先輩は相手に千鳥を叩き込み、勝負を決しようと、チャンスをうかがっているらしい。
だが、敵の男もそううまくは隙を見せてくれず、自然、苦戦を強いられている。
私はまだ未使用の巻物を一本、ベストのポケットから滑り落とし、勢いよく空中に広げた。
少し離れた場所で戦い続けるカカシ先輩を見つめたまま、一気に印を組みあげていく。
宙に広げた巻物が重力に抗えず、ふわりと地に落ちるのと同時に、私はチャクラの集まった両掌を巻物の真ん中に叩きつけた。

「カカシ先輩!! さがってください!!」

叫んだ瞬間、私が両手を置いた巻物の「水」と「飴」という漢字から激しい水流が弾け出す。
戦う二人めがけてほとばしる水の竜巻を、カカシ先輩は体をひいて素早くかわした。
その脇をすり抜けて、水の流れは敵の忍に襲いかかる。

「クッ!!」

直撃するのは避けたものの、地面に当たって散った水流は、辺りに重たい飛沫をあげ、敵忍の体を容赦なく濡らすとともに、足元に大きな水たまりを作った。
男の足はその水たまりに飲み込まれている。
男はすぐに腕を振って体の水滴を払い、水たまりの外に出ようと足を持ち上げた。
が――。



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