With
episode.39 (ページ1/2)

 bookmark?


樹上を走る俺たちの前方で、左右からはさみこむように立ちのぼる敵の殺気が目に見えた。
来るだろうな、と思っていたら、案の定、起爆札が投げられた。
そんな攻撃、どうせ俺らをつかまえるための陽動にすぎない。

見え見えなんだよ。

左右に配置された忍。
足元に投げつけられた起爆札。
俺らがそれをよけて飛び降りるであろう場所で待ちかまえ、捕獲しようっていう魂胆だ。

だったら――。

「名無子、右に飛べ!!」

そう叫び、俺はわざと盛大な音を立てて左の茂みに突っ込んだ。
俺たちの居場所を相手に教え、引きつけながら、俺は影分身を作って茂みの外へと這いださせる。
そして、自分は草木に身を隠したまま、俺の指示に従い右に飛んだ名無子の元へと走った。
予想通り、アイツの飛び込んだ先では、そうなることを待ちんぞんでいた敵忍が名無子の眉間にクナイを突きつけ、動きを封じていた。
地面にひざまずく名無子の顔は、目の前に凶器がかかげられているにもかかわらず、ひどく落ちつきはらった表情をたたえている。
俺が飛び降りる方向をハッキリ指示したことで、名無子は俺がすでに対応策を持っていると理解しているんだろう。
俺が必ずなんとかしてくれると真摯に信じている、そんな横顔だ。



(ページ1/2)
-148-
|
 back
select page/164

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -