With
episode.38 (ページ1/2)
後悔しないとアイツが言った。
一生、俺のそばにいるとアイツは言った。
もう、俺の気持ちは止められないと悟った。
俺の持ってる恐怖心を、お前への想いが凌駕していく姿が見えて、
『愛してる、名無子』
俺にはこの気持ちを我慢することなんてできやしなかったんだ。
敵陣からの脱出をはかる俺らの戦いは、互いの忍耐勝負のように長引き、苦しい状態に陥っていた。
用意してきた忍具もだんだんとその数を減らし、自分たちのチャクラ自体、刻々と減少していく。
樹上を駆け抜けながら、俺は忍ポーチに手を突っ込むと、指先に触れる忍具の少なさに内心、舌打ちした。
やはり忍具はほとんど残っちゃいない。
この先、クナイだけで戦えっていうのか、俺たちに……。
チャクラだって無尽蔵ってわけにはいかないんだぞ……。
俺自身、かなり限界に近付いたチャクラ残量に眉をひそめる。
俺がこんななんだ。
きっと名無子だって変わりはないはずだ。
どうにかうまく敵を撒けないものか――。
そんなことを考えながら木の上を駆けていく。
と、一分も走った頃だろうか、俺の足元にカッと乾いた音を立てて何かが刺さった。
落とした視線に金属の黒光りが飛び込む。
すぐさま脳の視覚野がクナイの像を結んだ。
それも起爆札付きで、だ。
俺は間髪いれず叫ぶ。
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