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episode.22 (ページ1/4)

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このままでいるのはイヤだと思った。
あの夜、触れ合いそうになった唇を意識してから、私は先輩とろくに接することができずにいた。
それまで散々くっついて歩いていたにも関わらず、今では先輩のそばに近寄るどころか、その視野に入ることさえままならない。
私はずっと身を縮めるようにして任務についていた。
肝心な任務のほうはといえば、小さな戦闘を幾度か重ねはしたものの、目的の農村に無事、物資を届けることができた。
今はすでに木の葉の里目指しての帰路にある。
それも既に残りわずかの距離となり、今日の夕方には里の大門をくぐれるに違いないと思われた。
つまり、この任務もあと少しで終わりを迎えるということだ。

だとしたら、やっぱりこのままじゃダメ――。

前を歩くカカシ先輩の背中を見つめながら、私は強くそう思った。
森での出来事があった翌日も、カカシ先輩は何度も話しかけてきてくれた。
なのに、私はその度に真っ赤な顔で逃げ出して、さすがに先輩もあきれてしまったのか、今はもう私に話しかけてくれなくなってしまっていた。

せっかくこんなふうに先輩と一緒に任務に出られてるのに……。
このままじゃ、私、きっと後悔する……。

私は任務の最終日、それも残すところあとわずかという時間になってようやく、ちゃんと先輩と話して過ごそうと心を決められた。
しかし、今度は私がどんなに話しかけてもカカシ先輩のほうがスルリと逃げていってしまう。



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