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episode.21 (ページ1/2)

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休憩時間、皆から離れ、木陰で休むカカシ先輩のもとへ近づくと、気配に気づいて僕を見た先輩のその目がひどく痛々しくて息を飲んだ。

そんな目、するような人じゃないのに。

やっぱり名無子と何かあったんじゃないかって、僕は確信した。
昨日からずっとふたりの様子がおかしいんだ。
夜中にふたりで森にいたことをいくら先輩にたずねても、修業につきあってただけだと返された。
でも、今朝だって名無子はカカシ先輩にろくに挨拶もできず、顔を真っ赤にして逃げ去るし、いつもならそんな名無子を絶対からかうはずの先輩は何も言わず、真面目な顔で見つめるだけだった。
その後も、名無子はカカシ先輩とうまく話もできず、カカシ先輩はそっと誰にも気づかれないように名無子の姿を何度も目で追っていた。

カカシ先輩、もしかして、アナタは名無子のことが好きなのかな――。

今日のカカシ先輩の態度は、そして今、僕に向けられた瞳の表情は、名無子を好きなんじゃないかって思うには充分なことのように思える。

でも、だとしたら……名無子をアナタに取られてしまう。

僕の胸はひどい苦しさに襲われた。
名無子がカカシ先輩のことを好きなことくらい、ずっと知ってる。
けれど、先輩にとっては名無子は可愛い妹でしかない。
だから僕は今までカカシ先輩に何の感情も抱かずやってこれたのに。
それがもし、そうじゃなくなって、カカシ先輩も名無子に惹かれはじめたら、僕は完全にこの勝負で敗者決定だ。

それはイヤだ――。



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