With
episode.03 (ページ1/4)
暗部の任務は想像以上に過酷なものだった。
覚悟していたはずなのに、そんな覚悟はまだまだ甘いものだったと任務初日に思い知らされる。
殺すか殺されるか、ここではそれがすべてだった。
自分がヤラなければ、自分の命がそこで散る。
それ以上にもっと最悪なのは、自分のせいで大事な仲間が殺されることだった。
そうならないためにも、必死に敵を倒し、この身に返り血を浴びつづける。
戦って、戦って、戦って。
ふと気が付けば、辺りは不気味なほどに静まり返り、自分のまわりに溢れていた敵の気配があとかたもなく消えている。
それは、私がすべての敵を殺したという何よりの証拠だ。
周りを見渡せば、地面には自分を中心に真っ赤に染まる血だまりができていて、殺しに殺した大量の敵がその鮮やかな朱色の水面に顔を突っ伏し倒れている。
私はつけていたネコの面を顔からはずし、やけに暗く静謐な森の中で茫然とたたずんだ。
体から血の匂いが立ちのぼる。
体中にこびりついた返り血が、体の中まで染み込んで、もうこの血の匂いが私の体から取れることはないような気がした。
反吐が出そうだ。
胸に浮かんだ呟きに、私は朦朧とする頭で、反吐が出るとはこういうことを言うんだって心の底から思った。
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