With
episode.14 (ページ3/3)
『僕のタイプは一生懸命な子です!!』
頭の中にいつだかのヤマトの声がよみがえる。
暗部時代のことだ、雑談中に好きな子のタイプを聞いたら、ヤマトは言葉を噛みながら真っ赤な顔でそう答え、名無子が好きだと宣言したも同然になっていた。
俺にしてみたら、その前から既にいたるところでにじみ出ていた好意のせいでヤマトの気持ちはわかりまくっている。
別段驚くこともなく、やっぱりな、と受け入れただけだった。
そう、昔からヤマトは名無子が好きだったんだ。
俺は写真の中のヤマトの顔に自分が名無子に抱いた想いを全て打ち消すように呟いた。
「なんて、な……」
そうだな。
名無子にはお前がいるんだ、ヤマト……。
俺はフォトフレームを元の場所に戻すと、ズボンのポケットから一枚の紙を取り出した。
カサッと無機質な音とともに開いたその紙は綱手様からもらった任務指示書だ。
そこには俺やヤマト、ナルトたちといったいつものメンツの他にアイツの名前があった。
名無子……。
その名を目にした瞬間、たった今、体の奥底にしまい込んだ何かが浮上しようとして、俺は急いで指示書を折りたたんだ。
乱雑にポケットにねじ込み、目を閉じる。
今も昔も妹分。
それはずっと変わらない。
これから先も変えられない――。
to be continued.
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