With
episode.14 (ページ2/3)
「絶対に生き続けてみせます……か」
先ほど慰霊碑の前で自分を射抜いたアイツの真剣な姿を思い出し、告げられた言葉を口に出す。
誰も、そんなこと言うヤツなんかいなかったのにな。
今までずっと。
それを、お前はなんで断言するんだよ。
生き続けるだなんて、俺に――。
頭に浮かぶ名無子の瞳は容赦なく俺を凝視して、その真っ直ぐな強いまなざしに俺の気持ちがあっけなく引き込まれていく。
その途端、いつも暢気な顔でやり過ごしてきた痛みがグッと胸を締めつけた。
それは戦いの日々に積み重ねられた人の死という黒くひずんだ闇の痛みだ。
忍としての自分が抱えるその痛みをこらえながら俺は低く吐き出した。
「もう大切な誰かを失うのはウンザリだ――」
写真の中から必死な瞳でこちらを見上げる名無子にすがるように問いかける。
なぁ、名無子。
お前なら本当に生き続けてくれるだろうか。
俺を残して消えたりしないだろうか。
弱くていつも守ってやらなきゃいけなかった妹分が折れることを知らぬ強さを秘めた女性として俺の意識に映り始める。
お前なら、ずっと一緒にいてくれるのかもしれない――。
指先で名無子の姿をなぞったとき、その横に立つヤマトの姿が目に入った。
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