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episode.13 (ページ2/3)
かけまくって息を切らしてようやく見つけたカカシ先輩の姿は、里の殉教者達の名を刻む石碑の前にあった。
肩で息をしながらそばに駆け寄る私を先輩は座ったまま肩越しに振り向いて少しだけ目を見開いた。
「名無子。どーしたの、息なんか切らしちゃって」
「あの、私……」
ズシャッと勢いよく草地に座り込み、酸欠にあえぐ肺を服の上から必死に押さえつけてしゃべろうとする私をカカシ先輩が優しく見守る。
「ん?」
その短くて暖かな問いかけに私の声が一気に流れ出した。
「先輩、私、強くなります! もっともっと修業してもっと強くなって、私、カカシ先輩に負けないくらい強い女性になります!! だから……!!」
カカシ先輩がもう悲しい思いをしなくて済むようにがんばるから。
だから私をそばにいさせて欲しいよ。
カカシ先輩―――。
一生懸命ことばを紡ぐ私の前でカカシ先輩は穏やかな風のようにクスリと笑うと、
「突然すごい勢いで何を言うかと思えば、この子は。お前なら強くなれるでしょ。俺にも負けないくらい強く」
そう言って私の心を簡単に包み込んだ。
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