With
episode.12 (ページ3/4)
「お前たち三人は本当に仲がいいんだな。カカシもよく暗部の頃の話をしているよ。アイツもお前やヤマトと一緒にいたあのころが本当に楽しかったらしい」
「え、カカシ先輩が?」
「あぁ、懐かしそうに話してる。カカシにとっては仲のいいお前たち二人が今もちゃんと元気でいてくれることが何より一番嬉しいんだろう」
「元気でいることが、ですか?」
言われた言葉の真意をつかみかねて首を傾げると、綱手様はいろんなことを経験してきた人間の、何とも言えぬ深遠な瞳で私を見つめた。
「そうさ。カカシは今まで何人もの仲間の死を見てきたんだ。小さいころからずっと。それはひどくつらいことだよ、名無子。たとえ普段どれだけ何てことナイ顔をして笑っているカカシであってもな」
「……」
『俺はそりゃ、自分より強い女性』
そう言ってのん気に笑ったカカシ先輩の顔が脳裏に浮かぶ。
あのときはその答えの意味など全くわからずに、やっぱりカカシ先輩はつかみどころがなくて不思議なことを言うって、そんなふうに思った。
ただうまく言えないけど、あの言葉はどこか先輩の本心が含まれている気がして、そのなんとなさを頼りに私は今まで強い女性を目指してきた。
でも、やっとほんの少しわかった気がする。
カカシ先輩は、本気で自分より強い女性がいいって思ってるんだ。
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