With
episode.08 (ページ5/7)
そうだった。
人に同情してる場合じゃなくて。
当然、私も言わされるわけで。
しかも、私、自分の好きな人の前で、好みのタイプを言わなきゃならないんじゃ……?
改めてその事実に気付いた私は、テンゾウに負けず劣らずの火照りっぷりで、ゴニョゴニョと小さく呟きの声を漏らした。
「……風みたいな人」
一瞬まわりがキョトンとする。
聞こえなかったのかなぁと思って、オズオズ視線をあげると、すかさずテンゾウがたずねてきた。
「風みたいな人って、どういう人だい? 抽象的すぎて、いまいち想像つかないんだけど……」
あ……そっか。
そうだよね。
テンゾウが言うのももっともだと思って、私は説明を加えた。
「えっと…風みたいに、なんか掴みどころがなくて、でも、やっぱり風みたいに、いつも私のそばにいて優しく包み込んでくれるような……。そうゆう人、かな?」
視線を落として、しどろもどろに告げると、今まで黙っていたカカシ先輩が、
「なるほどね。風みたいな人か」
相槌を打ってくれた。
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