With
episode.01 (ページ3/3)
「ありがと、テンゾー。ちょっと気が晴れてきたかも」
私が座ったまま下からテンゾウをまっすぐ見上げてお礼を言うと、テンゾウはその目を真剣に見返してからフッと視線を逸らした。
「いや、いいんだ……。それより、あのさ……サザンカ、今度……」
ブワッ!!
「「―――?!」」
突然の突風にテンゾウの言葉が途中でかき消された。
私たちはあわてて両腕を顔前にかざし、何事かと息を飲む。
桜の枝から花びらが上空高く舞い上がり、空にピンクの筋をつくって、そのピンクに染まる空の下、次第におさまる風の中心から一人の忍が姿を現した。
白く光る髪と左目を隠すようにしばった額あて。
私たちに注がれる右目はひどくけだるげで、その第一印象を是認するかのように、発された声もやっぱりとってもめんどくさそうだった。
「ハイ、お待たせ。今日から俺が君たちの上司、ハタケカカシだ」
これが、カカシ先輩との出会いだった。
桜咲く四月初旬のこの丘で、私とテンゾウはカカシ先輩と初めて出会った。
to be continued.
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