With
episode.08 (ページ2/7)
テンゾウと私が身を乗り出すと、
「ん? 俺? いないけど」
カカシ先輩はニッコリと答えた。
「って、なんだ、カカシ先輩もいないんじゃないですか! 彼女いるのかと思ってビックリしましたよ」
私もひどくドキドキと早打ちしてる胸を感じつつ、うんうん頷くと、
「アハハ、ごめん、ごめん」
カカシ先輩は眉尻を下げて謝った。
「だって、俺に彼女作る時間なんてナイの、二人がよく知ってるじゃない。俺、お前たちといっつも一緒にいるんだから」
そう言うと、カカシ先輩は、ま、でも、と言葉を続けた。
「俺は本当の兄弟みたいなお前たちと遊んでんのが、今は一番楽しいから。彼女いなくていいんだけどね」
本当の兄弟みたいなお前たち……か。
私はカカシ先輩の言葉に複雑な思いがした。
彼女がいらないと言ってくれるのはうれしい。
私たちを大事に思ってくれるのはうれしい。
でも、それは、私がカカシ先輩にとって恋愛対象として映ってないってことでもある。
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