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episode.07 (ページ9/9)

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その横で、しばらくテンゾウの姿を見つめていたカカシ先輩が、ふっとこちらに目をよこす。
ん? と、その視線を見返した瞬間、それまでしんみりとした顔でいたカカシ先輩が、くふふっと私に笑いかけた。
その顔に、

ってか…ノセたわけね、カカシ先輩。

私は、テンゾウが思いっきり口車にのせられて、うまいこと譲歩するよう仕向けられたと悟る。
そんなことも露知らず、テンゾウはほくほくと嬉しそうにお弁当をつまんでて、

不憫てゆーか、なんとゆーか……。
知らぬが仏……?

テンゾウの姿に、私は心の中で呟くと、その隣でニハニハ笑ってるカカシ先輩を見て苦笑を漏らした。

カカシ先輩、ノセるの、うま過ぎ……。

でも、きっと私もテンゾウと一緒なんだと思う。
いつだってこの人の言葉に、空気に飲みこまれて、すぐにいいように転がされてしまう。
なのに、どうしてだろう。
それは普通、ひどく腹の立つことなのに、カカシ先輩のときはちっとも頭にこない。
それどころか不思議と嬉しくて、笑いだしたくなって、どう転んでも先輩のほうが一枚上手だって納得しちゃうんだ。
つかみどころのないカカシ先輩。
隙だらけで、頼りナイ顔をして、本心を見せてくれなくて。
でも、私はその本心を見たくって、そして、あの優しい笑顔が見たくって、いっつもあなたを追いかけてしまう。

私の気持ちはやっぱりあなたを追いかけてるんだ、カカシ先輩―――。





to be continued.
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