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episode.07 (ページ7/9)

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「先パ〜イ。もう、すぐ、そうやって都合のいいほうに話を持っていくんだから。でも! 今日はそうはさせませんよ? 卵はやっぱり塩です!」
「違うね。砂糖!」
「塩ですよ!!」
「お前ねぇ〜。こーゆーときは先輩を立てなさいよ?」
「はぁ?! 先輩こそ、年上らしく、たまには後輩に譲ったらどーですか!」

バチバチと、たかが卵焼き、されど卵焼きとばかりに、くだらない火花が散ってゆく。
その火花を、カカシ先輩がふっと消し去り、ちょっとだけしんみりした口調で言葉を紡いだ。

「まぁ、でも、そうだな……。うん、俺が悪かったよ、テンゾウ」

へ? と、先輩の突然の変わりぶりに、テンゾウが目を見張る。

「お前の言うとおりだ。俺は年上なのに大人げないことを言って、お前たちを困らせてばかりだ。俺がもっとしっかりしなきゃいけないのに、俺はお前たちを大事な仲間…いや、それ以上に、本当の弟や妹みたいに思うあまり、つい甘えてしまってるんだ。そんな俺を、テンゾウもサザンカもよく支えてくれてるよ。二人ともありがとう」

カカシ先輩はそのままそっと視線を落とし、

「これからお弁当に厚焼き卵を入れるときは塩味で頼む、サザンカ」

そう呟いた。



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