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episode.07 (ページ6/9)

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テンゾウが口に含んだ卵を無理やりゴクリと飲みこんで、困った犬のような情けない表情を私に向けた。

「サザンカ、この卵、砂糖と塩、間違えたろう? 甘いんだけど」

その言葉に、あぁ、そうかと思う。
カカシ先輩に言われたとおり、砂糖入りで卵焼きを作ったけど、テンゾウは塩味のほうが好きなんだ。
すぐに、ごめんと謝ろうとして、でも、私より先にカカシ先輩が口を開いた。

「なに言ってんの、テンゾウ? 卵焼きが甘いのは当然だろ」
「はぁ?! 卵焼きって言ったら、塩味でしょう?! 甘いのなんておかしいですって!」
「違うね。おかしいのはお前の味覚!」
「いや、僕は正統派ですよ! わかりました、じゃあ、サザンカに聞いてみましょ?」

そう言うと、テンゾウはカカシ先輩とのにらみ合いをとき、私をガッと振り向いた。

「サザンカ、これは塩と入れ間違えただけだろう?」
「いいや、サザンカ、お前は俺と同じ砂糖派だよな?」

二人にズズッとせまられて、私はビクリとのけぞる。

「えっ…あ…あの……え……?」

いや、私はどっちも嫌いじゃナイけど……。
オドオドと目を泳がせながらどもる私を見て、カカシ先輩は諦めたように身を引いた。

「あぁ、いいよ、いいよ、サザンカ。お前が何を言わなくても、俺には分かってる。お前が砂糖派だってことくらいな」

そんなカカシ先輩に、テンゾウがあきれながら食いつく。



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