With
episode.07 (ページ3/9)
だけど、作らざるをえない状況に、私はなってしまっていたのだ。
それはもちろん、今、目の前でニコニコ満足そうに私のお弁当を眺めている、このカカシ先輩のおかげ。
『当てそびれたら、サザンカ、罰ゲームね』
あの罰ゲームとして、カカシ先輩は私に、
「それじゃあ、サザンカ、今度お弁当作ってきてよ。それ、罰ゲーム」
とか、なんとか涼しい顔で言ってきた。
反論しようにも、カカシ先輩はあの日だけでなく、私の真夜中の修業にしょっちゅう気づいてはいっつもつきあってくれていて、本当に感謝の気持ちでいっぱいで頭なんて上がらなかった。
しかも、カカシ先輩は私にニッコリ笑いかけながら、
「罰ゲームってゆーか。俺、サザンカの手作り弁当食べたいし」
そんなことまで言ってくる。
もう断るなんて無理だった。
私はそれだけで心臓がバクバク高鳴って、その息苦しい胸を必死に押さえながら、素直にコックリうなずいてしまってた。
あの時の、情けないというか、弱いというか、そんな自分を思い出し、私は苦笑まじりに、
「まぁ、そんなことより、食べて、食べて」
二人に割り箸を渡した。
みんな揃って、いただきまーすと食べ始めると、目の前に並べられた料理がぞくぞくと減っていく。
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