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episode.07 (ページ2/9)
心底おどろくテンゾウの向こうで、カカシ先輩は相変わらず機嫌よさげに、
「や〜、楽しみだな、サザンカのお弁当」
なんて、空吹いている。
まーったく、もう……。
カカシ先輩ってば……。
私は困ったように顔をしかめると、肩に背負っていたリュックをおろし、中からお弁当の包みを取り出した。
「はい、どうぞ。みんなで食べましょ?」
そう言って、私はその場に座り、目の前にお弁当を広げ始めた。
竹の皮やカゴなど、すぐ燃やせる入れ物の中に、おかず類をはじめ、おにぎりなどが所狭しと多々並ぶ。
それを見て、残りの二人も嬉しそうに草地に腰をおろした。
「スゴイな。作るの大変だったろう?」
見入るようにお弁当を見つめていたテンゾウが、私に目を向け、気遣いの言葉を口にする。
「うん…まぁ、ちょっと……ね」
っていうか、そりゃあ、もう。
私は思わず口ごもりながら、テンゾウに曖昧な返事を返した。
ただでさえ出発が早かった今日は、出発前に三人分のお弁当を作るなんて、正直かなり大変だった。
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