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episode.06 (ページ2/5)
驚いて振り向くと、私の後ろにはいつの間に現れたのか、カカシ先輩が立っている。
「カカシ先輩……」
「こんな時間に修業とは。テンゾウなんか、いつも通り爆睡中だってのに」
「テンゾウは…強いからいいんです。それに比べて私は……。もっと強くならないと」
「だからがんばり屋だって言うのよ、お前は」
ズボンのポケットに手を突っ込んで、カカシ先輩がそばまで来る。
私の顔をのぞき込んだ。
「体、疲れてんでしょ? 早く休まないと、明日がキツイよ?」
「それはそうなんですけど……」
私がモゴモゴと口ごもりながら俯くと、カカシ先輩は地面に落ちた千本を拾って、
「ま、確かに、千本はじくのって難しいよねぇ。細いから」
静かに呟いた。
その言葉にバッと顔をあげ、
「は、はい!! なので、私、うまく当てられなくて、でも、そんなんじゃダメだし、それで……!!」
思わず真剣にカカシ先輩を見上げると、先輩は、いつもの何を考えてるのかよくわからない瞳で私のことをジッと見つめ、それからフッと相好を崩した。
「まーったく、お前のそーゆうとこには勝てないね」
「え?」
そーゆうとこ…って?
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