With
episode.43 (ページ1/2)
「少し休憩するか」
目の前を走るカカシ先輩が、肩越しに私を見やり、進むスピードを落とした。
枝から地面へと飛び下りていく。
私もあとを追い、カカシ先輩のそばに降り立った。
「10分だけ休んでいこう」
「はい」
カカシ先輩はすぐ近くの茂みに入ると、身を隠すように低木の根元に腰を下ろした。
その隣に、私も身を寄せ、座りこむ。
逃げては戦い、戦っては逃げ、それを何度も繰り返した私たちの疲労は相当なものだ。
思わず、ふーっと息を吐き出すと、カカシ先輩が私の顔をそっと覗きこんだ。
「疲れたろう?」
目をあげれば、私を労るような、ひどく優しい先輩のまなざしに出会う。
「ろくに休んでないからな。今もあまり時間が取れなくて悪い」
「いえ、充分です」
10分だって休めることが有り難い。
私は首を横に振りながら、強引に笑顔をつくった。
けれど、積もる疲労は隠しきれなかったんだろう。
カカシ先輩が静かに言葉を継いだ。
「眠っても構わないぞ? 時間になったら起こしてやるから」
「え、でも、それじゃあカカシ先輩が……先輩だって疲れてるのに」
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