With
episode.38 (ページ2/2)
「名無子、右に飛べ!!」
俺の後ろから来る名無子が爆発に巻き込まれないよう、すぐさま指示を出し、自分も樹上から斜め下の地点へと身を踊らす。
ガザザザザッと茂みの中に突っ込むと同時に、ドゴォーンッと頭上で爆発が起きる。
直後、俺は名無子の姿を探そうと、草木の間から這い出て辺りを見回した。
その瞬間、背後から俺の首筋にクナイが当てがわられた。
「――ッ」
「だいぶ疲労してきたな。おかげで楽に捕まえられた」
後ろの男が満足そうに口を開く。
そのそばへ他の忍がひとり駆け寄る姿が視界に映った。
「さっきの起爆札はおとりだ。足元に投げつけられたら、当然よけようとして左右どちらかに飛び降りるだろう? それを見込んで、俺らは待機してたってわけだ。今頃、女のほうも、俺らの仲間に捕まってるさ。とにかく、うまくハマッてくれてよかったよ」
それを聞いて、俺は不敵な笑いを浮かべた。
その顔を見たもう一人の忍が苛立ちを隠せず、声を荒げる。
「何がおかし……」
グハッ!!
ソイツの言葉の途中で、名無子が逃げ込んだ方角から誰かの呻き声が聞こえた。
さらにつづけて、人の倒れる音が届く。
その異変に、ハッと敵のふたりが目を向けたとき、
「どっちがうまくハマッてんだか」
俺は面白そうに呟いて、
ポフンッ。
男たちの前から、俺の影分身はキレイに姿を消した。
to be continued.
(ページ2/2)-147-
←|→ backselect page/164