With
episode.33 (ページ2/3)
「いやです」
「名無子、この任務は……」
俺が今回の任務の危険性を説こうと口を開くと、それを遮り、名無子が答えた。
「任務の内容なら知ってます。綱手様に同行の許可ももらってきました」
「綱手様に……?」
コイツ、綱手様に話をつけてきたのか?
なんだってそんなことを……。
眉根を寄せた俺に名無子は軽く頷いてみせた。
「私も一緒に行きます」
俺は名無子から目をそらし、低く呟いた。
「でも……ダメだ」
「なんでですか」
納得のいかない思いを、無理やり感情を押えこんだ低い声に含ませ、名無子が問う。
唇を強く結んだ名無子に俺は声を絞り出した。
「心配するだろ、お前が突然いなくなったら……ヤマトが」
俺の答えにほんの少し間をおいて、名無子は静かに口を開いた。
「ヤマトには話してきました」
「――――」
ハッとあげた俺の視線を名無子がどこかちょっとだけ切なげな顔で受け止めた。
「ちゃんと送りだしてくれたから。ヤマトのことは、大丈夫です。それに、ヤマトからは先輩に伝言を頼まれてるんです」
「伝言……?」
「えぇ、そうです」
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