With
episode.27 (ページ6/6)
カカシ先輩のいそうなところを考えて、私は里の殉教者をまつる慰霊碑前に来ていた。
でも、今その前には誰の姿も見られない。
カカシ先輩……。
一体どこに行ってしまったんだろう。
慰霊碑を前に私はひとり無言で佇む。
ここにならいてくれると思った。
いつでも自分を不甲斐ないって責めるように石碑を見つめていたカカシ先輩。
そんな後ろ姿が今日もここにあると思ったのに。
それは私の見当違いに終わってしまった。
だったら先輩はどこにいるんだろう。
家に帰ったんだろうか。
それとも演習場で術の調整でもしているのだろうか。
あるいは先ほどの私のように忍具類の買いだしか。
いろんな予測が頭の中を飛び交って私はひどく混乱した。
とにかく思いつくところはすべて行ってみよう。
それしかないと思い、まず先輩の自宅に向かおうとした。
そのとき、ふっと他に行きたいと思う場所が無意識のうちに目の前に浮かびあがる。
まさか。
そんな場所にいるわけない……。
思いついた場所に先輩がいるとも思えず、心の中で否定した。
けれど、私の足はどういうわけか自然とそちらの方向へと向かいだしている。
一歩一歩踏み出した足はだんだんと速さを増し、最後には全力で走り行く。
足が向かった先、それはあの場所だった。
小高い丘の上。
桜の木が一本生えている、先輩と私たちが初めて出会った場所。
あの場所へ、私はありったけの脚力で走って行った。
to be continued.
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