With
episode.27 (ページ5/6)
「カカシ先生の今度の任務、すごく高ランクの任務なんです。だけど、カカシ先生は一人で行くって聞かなかったらしくて……結局、綱手様から一人で任務にあたる許可をもらってしまったんです。でも、いくらカカシ先生が強くても一人でなんて無茶すぎる……このままじゃカカシ先生、きっと死んじゃいます……!!」
サクラちゃんの真っ直ぐな目が私の空疎な瞳を射抜いていく。
私は彼女の視線も言葉も受け止めきれずに呆然と頭の中で言われたことを繰り返した。
え?
カカシ先輩が、死ぬ?
噛みしめるように脳内で唱えた二秒後、私の血液が体中を一気に逆流してみせた。
目の前の景色が沸騰する血に汚されて赤く染まって見える。
何、それ……?
カカシ先輩が死んじゃうって……え、何……?
情報処理機能を軽くキャパ越えした私の頭には引き続き、サクラちゃんの真摯な声が飛び込んでくる。
「名無子さん、お願い!! カカシ先生に考え直すように、説得してください……!!」
目に映るサクラちゃんの顔に、鼓膜に響くその声に、私の心と頭がようやく我を取り戻す。
それでも私は何も言えず、ただ一瞬サクラちゃんの瞳をグッと見つめ、次の瞬間、駆けだしていた。
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