With
episode.27 (ページ4/6)
ふっと振り向くと、
「あぁ、サクラちゃん」
つい先日、任務で一緒だったサクラちゃんが私の背後から行きかう人たちをよけながら駆け寄ってきた。
自分の見苦しい顔を見られたくないと思ったものの、私の前に辿りついた彼女は何か思いつめたようなひっ迫感に満ち、それどころじゃない雰囲気だった。
「どうかした?」
「あの……」
言い淀むような、何と言ったらいいか迷うような、そんな戸惑いの声で答えた後、サクラちゃんは今度はしっかりとした口調で言葉を続けた。
「名無子さん、カカシ先生の任務について聞きましたか?」
「え? カカシ先輩の任務?」
今、自分が懸命に意識の外に出そうとしていた名前に、
ドクンッ――
私の胸が激しい音を立てた。
「聞いてない……けど」
唾を飲み込み、かえした返事はやけに小声で、でもサクラちゃんは私の声の大きさなど気にも留めず、真剣な声で話しだした。
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