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episode.27 (ページ2/6)

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先輩の言うとおり、ヤマトの言うとおり、もういい加減、私はカカシ先輩を諦めなきゃいけない。
きっと、もう、

そういうことなんだ――。

私は閉じていた目を開けると、唇をかみしめて体に力を入れた。
ベッドを支えに体を持ち上げる。
数日間の寝不足と、さらにはトイレと水を飲む以外ほとんど身動きしなかった姿勢がたたって、立ち上がった瞬間にはクラッと世界がまわった。
私は腫れぼったい目を細め、額に手を当てながら、ふとその手の隙間から見える物に視線を留めた。
それはベッドそばの壁際に置かれた面だった。
私が暗部の任務に出る際いつもつけているネコの面。
その傷だらけの古びた面を目にした途端、自分の気持ちがなけなしの力で引きしまる。
通常任務の助っ人はもう終わった。
これからはまたいつも通り暗部の任務に就かなければいけないはずだ。
そして、それはもしかすると今日や明日、急な召集をかけられるおそれだってあるのだ。

こうしてられない……。

どれだけ気持ちや体がきつくても、私は暗部の忍だ。
任務の呼びだしに応じられないような失態は許されるわけがない。
いつでも、たとえ何年も思いを寄せていた人に嫌われ潰れそうでも、普通に任務をこなせて当然なんだ。
私は両手で頬をぎゅっと押し、気を強く持つ。
使ってしまった忍具の補充もまだしていない。
今後の任務に無理やり意識を集中させ、私は減ってしまった忍具を買いに出かけることにした。





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