With
episode.25 (ページ6/6)
そのさまざまな思いは綱手様のキレイな瞳の中でぐるぐる廻り、しまいにはひとつの収束へと移行した。
どれだけ見つめても視線を逸らさぬ俺に、綱手様が最終的に見せたもの。
それは諦めの気色だ。
「……わかった」
目を伏せて、綱手様が低く告げた。
「一人で、行け」
「ありがとうございます」
俺は慇懃に礼をすると、
「明日、夜明け前に里を出ます」
それだけ伝え、踵を返した。
重たい沈黙の浮かぶ中、火影室の扉に近づく。
ドアを開いて外に出ようとしたとき、綱手様が俺の背中に声をかけた。
「カカシ……もう一度聞く。何があった?」
その問いかけに一瞬、俺の足が止まった。
けれど、俺は背を向けたまま、
「何も、ありません」
堅い声で答えると、まっすぐに部屋を出た。
to be continued.
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