With
episode.25 (ページ4/6)
そうだな、名無子。
お前はきっと生き続けてくれるだろう。
だけど、それは俺のそばでじゃない。
ヤマトのそばでだよ。
何度も考えた。
これから先、俺たち三人の未来を。
今まで兄弟みたいに戯れてきた俺たちがどうなるのかって。
その度決まって浮かぶのは、兄貴面で、めでたく結ばれたヤマトと名無子の幸せそうに笑う姿を見つめてる自分の笑顔だ。
よかったなって祝福しながら、嬉しそうにふたりを見つめて。
でも本当はどうしようもなく辛いんだ。
どうしようもなく辛くって、あのふたりが愛し合う姿を今までみたいに温かく見守り続けるなんて俺にはもうできやしないと思わされる。
耐えきれない。
それを耐えきれるようになるまでにはどのくらいかかる?
ひと月、ふた月、半年?
それとも一年、数年、何十年――?
気が狂いそうだ。
第一そうまでして、俺にちゃんとやってくるんだろうか。
あいつらを心から認められる日なんて。
だって俺は本当は、こんなにも名無子のことが――。
自分の中に押さえつけていた感情がググッと主張を始めようとして、俺はとっさに心に蓋をした。
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