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episode.23 (ページ2/4)

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ずっと強くなりたかった。
それはカカシ先輩に認めてもらうためで。
そのためにずっと頑張ってきたのに。

私の中のその軸はたった今、大きな亀裂が入り、あっけなく折れてしまったみたいだ。

もう諦めなきゃだめなのかな。
私はカカシ先輩にとって迷惑な存在でしかないのかな。
だったら、じゃあ、どうして……。
キスしようとしたの――。

幹から離した手で自分の顔を覆った。
手の隙間からこぼれる涙がそのまま手首を伝って腕を流れる。
曲げた肘からポタリと涙が落ちたとき、私の体が背後から抱きすくめられた。
ビクリと体を震わせ、慌てて声を発そうとすると、

「名無子……」

私の誰何の声よりも先に聞きなれた響きが鼓膜を揺るがす。

「……ヤマト?」

小さくたずねた私に頷くようにヤマトが抱きしめる腕に力を込めた。

「どうして、ここ……に?」
「ごめん……。名無子の様子がおかしかったから気になってつけてきたんだ」

そうだったんだ……。

だったら、ヤマトはきっとさっきのカカシ先輩とのやり取りも見ていたんだろう。
そう思っただけでも私の頭の中はカカシ先輩の苛立たしげに叫んだ声が響きまわる。



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