With
episode.22 (ページ3/4)
「カカシ先輩!」
カカシ先輩が足を止め、ふっと興味なさそうな顔で私を振り向く。
「何か用か?」
私は思わず体をビクリと震わせた。
私の知っているカカシ先輩からでは想像できないほどに、その声も、その表情もひどく冷やかなものだった。
それだけで、もう頭の中は真っ白に化して、私は反射的に謝っていた。
「あの……私、ごめんなさい……。先輩の気に障るようなことしてたのなら謝ります。だから……」
「別に気に障るようなことなんかされてないよ」
その答えに、え? と息を飲む。
だったら、じゃあ、なんで……。
カカシ先輩はこんなに冷たいの?
私の視線から顔をそむけると、カカシ先輩は低い声で私に告げた。
「もっと他にいるだろう?」
「え……?」
意味がわからず問い返せば、カカシ先輩は私の顔を見もせずに言葉を続けた。
「もっと他に大事にしなきゃいけないヤツがいるだろうって言ってるんだ。いいかげん、俺の後ばっか追いかけてないで、ソイツのことを見てやれよ」
私をつき離す怜悧な声に絶句した。
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