With
episode.20 (ページ3/5)
「やめッ……もう!! 助けて、カカシ先輩ッ……!!」
ヤマトの放つ飛沫に追い立てられて、名無子は俺の後ろに隠れようと足元の水をかきわけ、こちらへと駆け寄った。
そして、俺の前まで来たときに――ツルッ!!
「あ!!」
「あ?!」
水底で足を滑らせた名無子がバランスを失って勢いよく俺の体に倒れ込む。
「えッ? 待て、オイッ……!!」
バッシャーーン!!
名無子の体を支え切れず、俺は見事に後ろにすっ転び、名無子とふたり仲良く盛大な音と飛沫をあげて川の中へと沈下した。
川底に尻もちついてムスーッとする俺に、同じく水の中に座りこんだままの名無子が、
「ご……ごめんなさい、ごめんなさいッ!!」
必死になって謝って、そんなびしょ濡れの俺たちをヤマトは指を差しながら大笑いした。
「ってゆーか、お前ねぇ……」
俺は腹を抱えて笑うヤマトを恨めしげに見上げると、バッと立ち上がってすかさずヤマトの体をつかまえた。
「一人だけ乾いた体でいられると思うなよ?!」
「カ、カカシ先輩?!」
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