With
episode.18 (ページ3/3)
「あぁ、カカシ先輩、こんなとこにいたんですか。あれ、名無子……?」
カカシ先輩のかたわらにいる私に気づいたヤマトが言葉を濁した。
私たちは何を答えることもできず、その場に固まるようにしてヤマトの顔を見つめる。
辺りに漂う先輩と私の作りだす常とは違う雰囲気に、ヤマトは一気に表情を強張らせた。
「あ……なんか邪魔だったかな、僕」
「バカなこと言うな、ヤマト」
パッと立ちあがってカカシ先輩は私を見ることもせず歩きだす。
「修業のアドバイスをしてただけだ」
吐き出すような口調で告げて、カカシ先輩はその場から消え去った。
残されたヤマトと私の間には重たい空気が残される。
それを、ヤマトがためらいがちに壊した。
「カカシ先輩と……何かあったの?」
その問いにぎゅっと心臓をわし掴みされた衝撃を感じ、私は慌てて笑顔を見せようと口角を持ち上げた。
うまく笑えているわけもなく、それでも私は無理やり浮かべた引きつり笑いを顔に貼りつけたまま答えて返す。
「ううん、何もないよ。何もない」
「そう。なら、いいけど」
「ありがと、心配してくれて。それより、私たちももう寝よ?」
私は何かを必死に誤魔化すように勢いよく立ちあがると、ヤマトを促し、ふたり、寝泊まりの建物に戻っていった。
to be continued.
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