HALF.
episode.19 (ページ1/7)

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案の定、足跡は林の中へと続いていた。
それは途中、里の城壁を飛び越え、その壁外に広がる林にまで伸びている。
樹上に残る泥の足型を唯一の頼りに俺は枝から枝へと走っていった。
まだ名無したちの姿は見えない。

どこまで行けば追いつけるんだ?

なかなか追いつけない名無したちに俺の胸が苛立ちを募らせる。
だが、むこうはどんな形であれ名無しを抱えて移動しているはずだ。
それに比べれば、単身で走るこちらは断然身が軽い。
追いつくのは時間の問題だ。
俺は自分の足を励まし、進む速度をさらに上げた。





林の中のある地点まで辿りついた俺は、そこでハタと足を止めた。

マズイ……。

ここまで順調に追いかけてきた足跡が突然消えている。
どうやらむこうも自分たちの残す足跡に気づいて消しにかかったらしい。
トラップなんかは仕掛けられてないし、俺が追いかけていることに気づいているわけでもなさそうだが、おそらく念のため足跡くらいは消していこうと思ったのだろう。
前に伸びる枝の上にも下に広がる地面の上にも足跡らしきものがひとつもなくなっていた。



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