HALF.
episode.16 (ページ1/4)
行きつけの定食屋のとびらをガラッと開けて、俺は声をあげた。
「あ」
「あ」
向こうも振り向いて声をあげる。
続けて、
「隊長ォ」
と、言ってきた。
名無しだ。
狭い店内のカウンターに名無しが座ってた。
めんどくせぇー。
変なのと会っちまった……。
俺は素知らぬふりをして、隅っこのテーブル席に腰をかけると、
「サバミソ定食ひとつ」
店のおやじに声をかけた。
「あらあら隊長、つれないじゃナイですかー。そんな離れた席に座っちゃって」
名無しがすかさず食べかけの定食をトレーごと持って、俺のほうにやってくる。
俺のテーブルにトレーを置き、前のイスを陣取った。
「なんだよ、こっち来んなよ! うぜぇー」
「いーじゃないですか、一緒に食べましょうよぉ。それとも、アレ? アレレ? 照れちゃってんですかー? 私を目の前に恥ずかしくって箸も持てない? このセクシャルハラスメントめぇー」
「ッざけんな! 誰が照れるか、ボケッ。セクハラはきさまのコメントだろーが!!」
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