HALF.
episode.12 (ページ1/4)

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安全な草原地帯にチョウジを運び出すと、落ち着いた雰囲気で名無しが治療を始めた。

「でも、その前に」

名無しはそう言うと、ビニル袋の一つから赤い木の実を取り出した。

「隊長とイノちゃんはコレ食べててください。多少、毒素吸ってると思うんで、念のため」

名無しのそばで、草の上に座っていた俺とイノは、名無しが差し出した赤い木の実を受け取ると口に入れた。
名無しが戦闘前にガサガサやっていた袋の中身は、どうやらコレだったらしい。
俺は口内の種をガリッと噛み砕きながら、名無しの行為を見守った。
名無しはリュックの中から薬剤を始め、必要なものを取り出すと、アルコール綿で消毒したチョウジの腕にスッと注射の針を刺した。

「これで大丈夫。この木の実の種子と同じ成分の薬剤を注射しましたから。すぐ回復しますよ」

名無しは、俺らにそう請け合うと、

「それに」

と、言葉を付け足した。

「一応、戦闘中は、芳香成分の中に解毒作用のある薬草を顔の下に敷いておいたので、それも、きっと回復を早めてくれます」

おそらく、その薬草とは、コイツが摘んできた独特の香りを放つあの草のことだろう。
俺の鼻に、漢方にも似たその薬草の香りが思い出された。



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