HALF.
episode.45 (ページ1/4)
「は……?」
綱手の言葉を聞いてまっさきに出たのはそんな間抜けな一言だった。
きっと表情だってそうとう抜けたものになっていたに違いない。
綱手が噛んで含めるように、もう一度同じ台詞を繰り返した。
「今後、名無しが任務に出ることはなくなった」
見つめても見つめても揺るぎを見せぬ綱手の姿を、それでも俺は呆然と凝視しながら心の中で呟きを漏らす。
……何を言って……?
綱手は俺の顔から視線をはずし、ひとつ呼吸を吐き出してから、ふたたび俺の瞳に焦点を戻した。
「本人の希望で元々就いていた院内勤務に戻ることになった。だからもうお前と任務に出ることはないというわけだ」
「――――」
今度は声さえ出なかった。
綱手の言ってることがまったく飲み込めない。
名無子がもう俺と任務に出ない……?
院内勤務に戻る……?
なんだよ、それ?
混乱しまくる頭ん中をどうにかしようにも俺の脳細胞がまったく動きを止めちまって、かわりに心臓ばっかり動きを速める。
綱手が珍しく言い訳に似た台詞を俺の前に並べた。
「お前には強制的に名無しを配属しておきながら、いきなりこんなことになって私もすまないと思っている。でも、まぁ、お前もこの人事には不満を抱いていたようだし、これはこれでちょうどいいかもしれんよな」
何言ってんだよ?
さっぱりわかんねぇーよ。
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