HALF.
episode.40 (ページ1/6)

 bookmark?


地面に倒れ込んだエイシンを前に、俺は大きく息を吐き出し目を閉じて、それからゆっくりとまぶたを持ちあげた。
眼球に映るエイシンの体はピクリともせず、仰向けの状態で雨上がりにも似た地面の上に転がっている。
その様をどこか呆然とした面持ちで俺は静かに眺めた。
戦っている最中、思ったことは発電する手腕部は放電を受けたところで感電しないかもしれないということだった。
名無しの話でエイシンのそれらは人と違う作りになっていると聞いていた俺は、ヤツの手腕部が非導電性である可能性をまず考えた。
しかし、名無しはそれ以外は普通の人間と同じ構造だとも言っていた。
だったら、手腕部を除いた他の部位に電気を食らえば、おそらくはエイシンでも感電するに違いない。
そう思った俺はヤツに鉄の鎖を投げて手首を拘束し、わざと互いの体を鉄という電気伝導物質でつないで、エイシンがそこに放電するよう仕向けた。
そして、鉄鎖を伝う電流を再びエイシンの体に戻らせるため、鎖の端に縛っておいたクナイをヤツの腹部目がけて投げつけ――その結果エイシンは感電した。

想定通り。

確かに想定通りだ。
でも、だからって、俺の勝利と納得するには苦戦しすぎた。
ただ一瞬、俺に気まぐれな運が向いただけの危うい勝利であって、喜ぶような代物じゃない。



(ページ1/6)
-154-
|
 back
select page/181

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -