HALF.
episode.37 (ページ1/2)

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ますます高まるエイシンの殺気、それに必死に対抗する俺の精神。
ちょっとでも気をそらしたら、この場の均衡は一気に崩れ、俺は絶命の危機にさらされるんだろう。
それほどの緊迫感の中、エイシンのチャクラを集めた左手が右側から伸びてきた。
その手にできた丸い水の球体で俺の体を絡め取ろうとする。
急いで背後によけると、エイシンは左手に作った水球を容赦なく破裂させ、辺りに飛沫を飛び散らせた。
その水滴が地面に落ち切る間も無く、今度はエイシンが俺の後ろに現れ、再び水牢の術を仕掛けてくる。
間一髪、俺が横に転がるや、大きな水の塊は今まで俺がいた場所で破裂して、バシャッとそこの地面を濡らした。

閉じ込められてたまるかよッ――!

エイシンの動きはどれだけ凝視したところで瞬間的に見失う。
それを、五感をフル稼働させ、俺はなんとか逃げていく。
とにかく回避、退避で精いっぱい、影を伸ばすなんて芸当はとてもじゃないが試みる気さえ起きやしない。
そんな俺の気概のなさまで理解済みなのか、エイシンはわざと接近戦に持ち込んで俺を挑発しているように見えた。

なんて強気な奴なんだ、ちくしょうッ!

心の中で毒づいたところで俺に出来ることと言ったら、ただヤツの手から逃げおおせること。
水牢につかまれば一貫の終わり、そのまま窒息を待たれるか、逆の手で電気をぶち込まれるか、だ。
そして空の手につかまったとしても、それはそれで感電死を意味している。



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