HALF.
episode.35 (ページ1/1)
とにかくあの手につかまらなきゃいい。
俺はそのことに注意して中距離からの攻撃を仕掛ける。
エイシンが俺の忍具をかわし、それと同時に器用にも俺の伸ばす影までよけていく。
見事だな、その動体視力。
気を散らしてやろうと思って攻め込む忍具が全く効を奏していない。
相手はしっかりと俺の影にも気をまわし、これじゃあ到底影真似の術で捕まえることは無理だった。
さぁ、どーする、俺?
エイシンのスピード、ガード、攻め方、そのどれもが素早く、隙がなく、ハンデをやると言いきったコイツの言葉は口から出まかせなんかじゃなかったのだと今更ながら思い知る。
俺が影で捕まえようとしたところで自分を捉えられないと確固たる自信があったからこそのセリフだったに違いない。
その証拠にエイシンはまだ余裕な感じさえする。
クッソー、腹立つな。
ギリッと奥歯を噛む俺を今度はエイシンが反撃してきた。
繰り出される蹴り、めまぐるしく振り下ろされるクナイを必死によける。
影を伸ばそうにもこう畳みかけられては無理だった。
だったら、と、俺は頭の中を駆け巡る作戦に目を向け出した。
誰かを影で捕まえるよりも、考えるだけのほうがまだ楽におこなえる。
ここから先どうするか、相手を追い詰める方法を次々弾きだしてはその合否を判断し、俺はエイシンの攻めをかわしていった。
そして、使えるかもしれないと思う考えが浮かんだ瞬間、
「もらった」
エイシンの落ち着いた声が耳に届き、作戦に意識を傾け過ぎた俺の手がパッとつかまれた。
ハッと息を飲む間もなく、一気に放電される。
バキキキキキィィイーー!!
チョウジのときとは比べものにならない音とともに俺たちの手のまわりで激しい電光が炸裂した。
to be continued.
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