HALF.
episode.04 (ページ1/5)

 bookmark?


野草の生い茂る原ッぱの真ん中で、名無しは一人のん気そうな空気をまとって座っていた。
周りに敵の影なんて全く見えやしなくて、俺は独特の香りを放つ草の中を名無しの背後から近づき、その首根っこをガッとつかんだ。

「のん気に何してんだ、お前は? あぁ? 勝手に姿消しやがって、手間かけさせんじゃねぇーよ、めんどくせぇー」

そのままズルズルと名無しの体を引きずりだす。

「グェッ! 隊長、ストップ、ストップーー!!」
「なんだよ、うるせぇーなぁ」
「今、ち…治療中! 治療中なんですって!!」
「は?」

振り向いて名無しを見れば、名無しの膝の上には黒いコロンコロンした動物が乗っていた。

「子……グマ」
「そぉ! 人間の仕掛けた罠にはまってケガしてたんです! それ、今、治療してますからッ」

俺は思わずため息をついた。

「……ほんとバカだな、お前」

俺は呆れるあまり、つかんでいた名無しのハイネックの白いTシャツをパッと離した。



(ページ1/5)
-13-
|
 back
select page/181

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -