HALF.
episode.04 (ページ1/5)
野草の生い茂る原ッぱの真ん中で、名無しは一人のん気そうな空気をまとって座っていた。
周りに敵の影なんて全く見えやしなくて、俺は独特の香りを放つ草の中を名無しの背後から近づき、その首根っこをガッとつかんだ。
「のん気に何してんだ、お前は? あぁ? 勝手に姿消しやがって、手間かけさせんじゃねぇーよ、めんどくせぇー」
そのままズルズルと名無しの体を引きずりだす。
「グェッ! 隊長、ストップ、ストップーー!!」
「なんだよ、うるせぇーなぁ」
「今、ち…治療中! 治療中なんですって!!」
「は?」
振り向いて名無しを見れば、名無しの膝の上には黒いコロンコロンした動物が乗っていた。
「子……グマ」
「そぉ! 人間の仕掛けた罠にはまってケガしてたんです! それ、今、治療してますからッ」
俺は思わずため息をついた。
「……ほんとバカだな、お前」
俺は呆れるあまり、つかんでいた名無しのハイネックの白いTシャツをパッと離した。
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