HALF.
episode.30 (ページ1/4)

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「――ッ!!」
「――ッ!!」

絶叫とも言えるイノの大声に、俺たちは反射的に立ち上がり、間髪いれずその声目指して走り出した。
イノは俺たちとは別に護衛する人物にピタリと張り付いてもらっている。

そのイノが声を上げたとなると――敵。

先ほどの襲撃を乗り越え、安心していた俺の胸が危険な予感にドクリと波打つ。
俺は名無しとふたりで目的の部屋に達すると、そのふすまを蹴破って中に飛び込んだ。
そこには大名家の爺さんとそれを背にかばって身構えるイノ、そしてもう一人。

――コイツ。

見開いた俺の目に面をつけた男が映った。
以前も目にしたキレイなグレー色の髪。
俺を振り返った面の男が俺の後ろにいる名無しを見て、顔を覆う面の下、満足そうに笑った気がした。
俺がギッと睨みつけると、男は俺らとは逆の方向へ走り、部屋の窓ガラスに身を投じた。

ガシャアァァーン!

派手に音を立てて割れた窓ガラスをかいくぐり、男が颯爽と逃げていく。
俺はすばやく指示を与えた。

「イノ、お前はここに残って大名様をお守りしろ。チョウジ、名無し、ふたりはおれと一緒に来い。アイツを捕まえる」

周りの三人が次々と首肯し、その姿に俺も目で頷き返す。
俺らはイノを残し、面の男の後を追いかけはじめた。





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