HALF.
episode.26 (ページ1/9)

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チョウジの告白を聞いてから、たまたまチョウジと一緒に任務に出る機会もなくて、そのことに俺はどういうわけかホッとしていた。
応援すると言った。
だから別に後ろめたいことなんか何もない。
けど、なんか顔を合わせづらかったんだ。
チョウジが想いを寄せる名無しとは毎日のように会っていた。
もちろん任務で、だ。
ここのところ俺は後輩とともに比較的楽な任務に就いているのだが、楽とは言え、任務に怪我は付き物で、医療忍者である名無しも一緒に連れて行くようにしていた。
今日もこれから名無しと後輩とでスリーマンセルを組み任務にあたる。
その任務に出る直前、俺は家の洗面台を前に大きな声をあげた。

「いてッ!」

急いでいたせいで手が滑ったらしい、剃刀で髭をそっていた俺はその刃で顎の下のところに小さな傷を作ってしまった。
顎を突き出し、ひりつく部分を鏡で確認するとやっぱり血が滲んでいる。

でも、まぁ、たいした傷じゃねぇな。
時間もねぇーし、このまんまでいっか。

俺は剃り残しの部分を手早く処理し、傷にはこれといって絆創膏を貼るでもなく、任務に出かけた。
今日の任務もたいしたものじゃない。
余裕の俺らは移動途中の原っぱでのんびりと休憩をとった。
野原の端の草地の上に後輩の桃木イチヤとならんで座りこむ。
足を投げ出し、両手を体の後ろについて体重を預ける。
少し離れたところでは名無しがリュックからせんべいを取り出してバリバリとやり始めた。
その姿をなんとなく眺めながら、俺は拉致後に名無しと初めて顔を合わせた時のことを思い出していた。



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