HALF.
episode.21 (ページ1/3)

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意識の戻らぬ名無しの体をおぶって、俺は里へと足を進めた。
名無しを無事奪還できた安心感とは別に、俺の胸には変な波紋が広がっていた。
それはあのお面ヤローが言ってたことに対しての疑念だった。

『名無子か。今回はあきらめる』

アイツは確かに名無しのことを知っていた。
その上でコイツを拉致しようとしてた。

なんで名無しを知ってんだ?
なんで誘拐しようとしてんだ?
しかも『今回は』ってことは、またやるってことだよな?

今わかってることだけじゃ全く話が見えねぇ。
でも。

連れていかれてたまるか。

なんでかわかんねぇーけどそんなふうに思って、俺は慌てて自分の気持ちに理由づけをした。

「部下だからな。連れていかれたら困るんだよ」

強がるように呟くと、背中のあったかい重みがちょっとだけ身じろぎした。



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